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スクーター(YAMAHA NMAX125改)のトルクカムがまた壊れてしまった。なんで?原因を推測してみた。

Categories | バイク その他 スクーター

日々の通勤において不可欠な機動力となっている私のNMAXですが、約3ヶ月ほど前から

駆動系に微細な違和感、いわゆる「異音」を知覚し始めました。

当初は聴覚的な錯覚かとも思われましたが、事態は日を追うごとに深刻化。

やがてその異音は増幅し、さらには不快な振動がシートを介して臀部へとダイレクトに伝播する、

看過できない状況へと至ったのです。

加速性能は著しく減退し、現状では変速機構が正常に機能せず、

常にローギアに固定されたかのような高回転・低車速の状態を余儀なくされています。

ここ1週間ほどは、最高速も時速50km程度で頭打ちという惨状。

後続のドライバー諸兄には多大なる不便を強いていることと推察しますが、

生活の足としての職責を全うするため、騙し騙し運用を継続せざるを得ませんでした。

長年の経験から、この徴候が駆動系の致命的な不具合に起因するものであること

は想像に難くありません。

そこで、2ヶ月前の応急処置を経て、今回抜本的な分解修理を行いました。


駆動系のメンテ・修理の履歴(整備記録簿)

個体詳細:YAMAHA NMAX125

2016年式(SE86J型) 登録型式(2DS2)

駆動系における保守・換装履歴

ハイスピードプーリー(武川)/ Vベルト交換 23,200km(2020/07/20)

155cc ボアアップ換装 34,637km(2021/12/09)

クラッチアセンブリ交換 44,117km(2023/01/24)

クラッチアセンブリ(純正) 51,277km(2024/02/17)

現在累計走行距離:62,014km

YAMAHA NMAX125 整備記録簿


 

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クランクケースカバーを外した瞬間、内部から大量の酸化鉄と思われる

「錆の微粒子」が飛散しました。この赤褐色の粉末はドライブベルトの表面にも

広範囲に付着しており、これが摩擦係数の変動や異常摩耗を誘発する一因となっている

可能性を否定できません。不具合の根源を特定すべく、ケースを外した状態でエンジンを

始動し、動的な診断を実施しました。

 

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結果、打音(カタカタ音)の発生源はプライマリ側のプーリーではなく、

セカンダリ側のクラッチユニットに集約されていることが判明。

さらに、回転中のVベルトは周期的なバタつきを見せ、挙動が著しく不安定です。

スロットルを開度させると、プライマリプーリーはベルトを狭窄すべく可動していますが、

セカンダリ側での変速が追従せず、ベルトが外径方向へ遷移しません。

すなわち、変速比が固定された「ローギア拘束状態」であることが実証されました。

続いて、クラッチアウターの取り外しました。

 

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アウターを脱着したところ、内部から粒子状の錆が堆積物として零れ落ちました。

トルクカムの背面にも、この不気味な焦茶色の粉末が広範に沈着しています。

これは通常摩耗の範疇を明らかに超越した異常事態です。

一旦、パーツクリーナーを用いてこれらの汚染物質を徹底的に洗浄・除去しました。

 

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このクレンジング処置により機能が回復する淡い期待を抱き、再度アセンブリを構築して

試運転を試みましたが、無情にもカタカタという打音はより鮮明に。

そして、ついに決定的な「故障の証跡」を露呈することとなりました。

 

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スプリングシートの損壊を確認。

金属疲労か、あるいは想定外の応力によるものか、明確な穿孔(穴)が生じています。

やはり元凶はトルクカムの機能不全でした。

詳細な検証のためユニットの解体が必要ですが、クラッチのセンターナットを解脱する

ための特殊工具を保持していなかったため、急遽バイクショップにて

39mmの超大型ソケットレンチを調達しました。

 

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セカンダリユニット(クラッチ側)の検証

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セカンダリプーリー分解工程

1. センターナット緩解時、内部のスプリングによる反発力でパーツが飛散する危険性があるため、

細心の注意を払います。レンチにハンマーで衝撃を与えるショック療法を併用し、

段階的に緩めていきます。

2. スプリングシートの脱着については、重度の固着が見られたため、

基部にマイナスドライバーを挿入し、テコの原理を用いて微動させました。

その後、内部のオイルシールを損傷(噛み込み)させぬよう、軸方向に回転を加えながら

慎重に引き抜きます。

3. トルクカムの溝に配置されているピンを、ラジオペンチを用いて垂直に抜去します。

 

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分解後の惨状は想像を絶するものでした。

トルクカムのピンがスプリングシートを物理的に貫通し、先端が外部へ突出していたのです。

この突出部がスプリングと干渉していたため、分解作業に多大な難儀を要したわけです。

本来封入されているべき潤滑グリスは完全に消失し、金属同士の直接接触による摩擦熱と

磨耗が進行。結果としてスプリングシートは固着し、

トルクカムとしての動的な役割は完全に消失、機能停止に陥っていました。


トルクカム損壊の因果関係に関する理論的推察

まず、今回全損したトルクカムの運用履歴を整理します。

この純正トルクカムは2024年2月7日に装着したもので、当時の走行距離51,277km。

すなわち、わずか10,737kmの運用期間で致命的な損壊に至った計算になります。

参考までに、当時の換装記録を以下に記します。

【NMAX125】走行7000kmでクラッチが砕けた!安価な補修品(KN企画)は寿命が短い?故障の原因と修理費用

 

さらに遡及すると、

2023年1月24日に、消耗品の更新としてKN企画 クラッチアッセンブリー【補修タイプ】

採用しました。しかし、この社外品トルクカムも早期に破損し、純正へと回帰。

その際の耐久寿命はわずか7,160kmでした。

 

これほど頻繁にトルクカムが破綻する事象に対し、専門業者やメーカーへも照会を試みましたが、

明確な回答は得られませんでした。

そこで改めて状況を整理した結果、ある共通項が浮かび上がりました。

ボアアップによる出力向上以降、トルクカムの損壊が頻発しているのです。

 

損壊態様の比較検証

【第1回故障】

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社外品の品質も一考の余地はありますが、それ以上に設計限界を超越した過大なトルクが

加わり、構造的耐久性が担保できなくなったものと推察されます。

密閉されたクランクケース内部において、これほどの破壊エネルギーをもたらすのは

エンジン出力以外に考えられません。

 

【第2回故障(今回)】

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ボディブローのように蓄積された過負荷が、最終的にピンを外方へと押し出し、

スプリングシートを貫通。これにより変速制御という本来の責務を放棄するに至りました。

 

考察:「設計想定外のセッティング」が損壊を誘発したのか?

すなわち、ボアアップによるトルク増大と、プーリー設定の不整合が負の相乗効果を

生んだのではないか?

 

初回故障時のセットアップ:

ボアアップ 155cc換装 / ウエイトローラー8g(LEVEL10) / ボスワッシャー4枚

※155cc純正仕様はWR13g、ボスワッシャー非採用。125cc時代の過激な加速重視設定のまま

排気量のみを拡大していました。

ちょっとした豆知識】スクーター変速設定の力学

  • 排気量による設定差異: NMAX125は年式により10g前後のWRを採用しますが、155は増大したトルクを有効活用すべく、13gという重めの設定で低回転域からのスムーズな遷移を企図しています。
  • セッティングの力学的傾向:
    • 軽量化(例: 11g〜12g): 高回転域を多用し鋭敏な加速を実現しますが、燃費悪化やエンジンへの熱負荷、駆動系パーツへの応力が増大します。
    • 重量化(例: 14g〜15g): 最高速の伸長や静粛性の向上に寄与しますが、加速特性は緩慢(マイルド)な傾向となります。

 

今回の再破損時のセットアップ:

ウエイトローラー10g(ドクタープーリー) / ボスワッシャー4枚

排気量拡大に伴いWRを2g増量しましたが、依然として125ccベースの「高負荷設定」

であったことは否めません。

 

結論として、高出力化したエンジンに対し、変速の「落とし込み」を強調しすぎた設定が、

トルクカムピンへの過渡的なせん断荷重を増大させ、今回の破綻を招いたという仮説

が最も有力です。

 

本推察に基づき、恒久的な対策として以下の部品を調達・換装いたしました。

・トルクカム一式

・ウエイトローラー(11g)への再調整

また、異常摩耗の温床となりかねないボスワッシャーの使用を撤廃し、適正なベルトラインの

確保に努めました。

既に換装作業は完了しており、その詳細なプロセスについては、次回の記事にて詳述する予定。

しまい

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TAGS: / / | 2026年1月14日 |

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